放射線と電子線

放射線の一種である電子線は、β線と同じものです。β線は原子の壊変から発生しますが、電子線は装置により発生を制御することで安全に利用することができる放射線です。

生分解性放射線(電子線)実験樹脂

電子線架橋技術を応用して、生分解性樹脂ポリカプロラクトン(PCL)に形状記憶性(熱収縮性)をもたせた実験用樹脂です。ここでいう形状記憶性とは熱により変形した樹脂が、再び熱を加えることで元に戻る性質のことです。
この性質により、電子線架橋の効果を簡単に体感することができます。

この製品は国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構(QST)の技術を利用して、製品化しました。

QSTロゴ

照射の様子

ポリカプロラクトン(PCL)を電子線架橋するための電子線照射は、PCLのシートをトレイにセットして行われます。
動画の中央の大きな台がトレイでその上にある白いシートがPCLです。
電子線はシャワーのように照射されますので、トレイを洗車機のように通過させることでPCLに照射されます。
PCLに電子線が当たると、架橋が起こりますが、同時に余剰のエネルギーにより発光しています。

実験の様子

実験いただくと、電子線照射することで形状記憶性が付与されることがお分かりいただけます。

未照射樹脂での実験動画 サムネイル 00:41

電子線を照射していない通常のポリカプロラクトン(PCL)は60℃以上のお湯に浸すと透明になり、引っ張ると簡単に伸びて元に戻りません。

放射線(電子線)照射済樹脂での実験動画 サムネイル 00:52

電子線を照射したPCLもお湯に浸すと透明になりますが、強く引っ張らないと伸びません。
また、伸びた後にもう一度お湯に浸すと・・・。
是非、実験で体験してみてください。

電子線照射の利用とSDGs

GOAL2飢餓をゼロに GOAL12つくる責任 つかう責任 GOAL2飢餓をゼロに GOAL12つくる責任 つかう責任

この形状記憶性(熱収縮性)の付与の技術は食品包装フィルムの製造に利用され、食品保存期間の延長、さらには食品ロス削減につながります。
このように電子線は身近で、そして様々な場面でSDGsの達成を支援しています。
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