半導体への電子線利用
キャリアライフタイムの制御に貢献
シリコンウェハの電子線照射による改質は、プロトンや軽イオンの照射と並んで広く利用されています。
パワーデバイス向け半導体において、キャリアライフタイムの制御は重要な課題であり、電子線照射によって
格子欠陥を形成することでこの特性をコントロールする方法は、均一性と制御性に優れており、
今後の新たなデバイス開発においても重要な手段として活躍が期待されています。
耐放射線性の評価への電子線利用
宇宙空間の模擬
宇宙空間にある人工衛星などは様々な放射線に曝されるため、部材の放射線耐性の評価方法として、電子線照射による加速劣化がしばしば行われています。
食品照射への電子線利用
食品の安全性向上
食品への電子線やガンマ線の照射は、殺菌、殺虫、発芽抑制などの効果があり、世界保健機構(WHO)や多くの国によって安全性が確認されています。日本国内では馬鈴薯の発芽抑制用途での使用のみが許可されている状況ですが、
世界的には、非加熱式という特徴を活かして、香辛料、肉、果物、海産物等様々なものに照射されています。
近年では、植物検疫を目的とした農産物への照射が増えており、アメリカでは照射による殺虫を行なったマンゴーや
パイナップルなどの果実輸入量が年々増加しています。